2026年iDeCo改正。「掛金を増やす前」に社長が考えるべきこと

2026年12月、iDeCo制度が改正されます。

iDeCo公式サイト(国民年金基金連合)

掛金への適用は2027年1月分からとなる予定で、会社員や会社役員の掛金上限は、月2.3万円から月6.2万円へ引き上げられます。

「節税効果が大きくなる。」
「上限まで掛けた方がお得。」

そんな情報を目にした方も多いのではないでしょうか。

もちろん、制度が使いやすくなること自体は歓迎すべきことです。

しかし、中小企業の社長にとって、本当に考えるべきことは掛金ではありません。

「会社と社長のお金を、どう配分するか。」

私は、この制度改正の本質は、そこにあると思っています。

「掛金を増やせる」と「増やすべき」は違います

例えば、会社に1,000万円の利益が残ったとします。

そのお金を、

  • 新しい設備に投資する
  • 採用や人材育成に使う
  • 借入金を返済する
  • 会社に内部留保として残す
  • 役員報酬として社長個人に移す

この時点で、すでに経営判断です。

そして、役員報酬として受け取った後に、

  • iDeCoで老後資産を準備する
  • NISAで資産形成をする
  • 手元資金として残す
  • 家族のために使う

という、個人のお金の配分があります。

つまり、

「iDeCoをいくら掛けるか」は、会社のお金の配分を考えた“その先”にある判断なのです。

iDeCoは「会社のお金」で積み立てる制度ではありません

iDeCoは、個人が加入する年金制度です。

会社のお金を直接積み立てる制度ではありません。

社長が掛金を増やすのであれば、役員報酬として受け取った個人のお金の中から拠出することになります。

だからこそ、

「掛金が増えた」

という制度だけを見ても、最適な答えは出ません。

法人に利益を残すべきなのか。

役員報酬を見直すべきなのか。

会社の投資計画や資金繰りはどうなのか。

そこまで考えて初めて、

「iDeCoをどう活用するか」

という判断につながります。

「節税になるから」は経営判断にならない

「iDeCoは節税になるので、上限まで掛けた方がいいですよね?」

そう聞かれることがあります。

私は、その場で「はい」とも「いいえ」とも答えません。

まずは、

・会社の利益はどのくらいあるのか
・役員報酬はどのように考えているのか
・設備投資や採用の予定はあるのか

などをお聞きします。

その前提が分からなければ、最適な答えは出せないからです。

例えば、

これから工場を建設する予定がある会社。

採用を強化したい会社。

設備投資を予定している会社。

銀行との関係を重視し、自己資本を厚くしたい会社。

こうした会社では、役員報酬を増やしてiDeCoに回すより、会社に利益を残した方が良いケースもあります。

一方で、

会社の財務が安定し、社長個人の資産形成を優先した方が良いケースもあります。

どちらが正解という話ではありません。

大切なのは、

会社の未来にとって、どちらが良い判断なのか。

という視点です。

私が最初にお聞きすること

私は制度の説明をする前に、必ずお聞きします。

「5年後、10年後、会社をどんな姿にしたいですか?」

そして、

「社長ご自身は、どんな人生を送りたいですか?」

未来が決まれば、

役員報酬の考え方も、

iDeCoも、

企業型DCも、

小規模企業共済も、

NISAも、

選ぶべき制度は自然と見えてきます。

制度から考えるのではなく、

未来から逆算して制度を選ぶ。

それが私の考え方です。

制度は「目的」ではなく「未来を実現するための手段」

iDeCoは、とても良い制度です。

企業型DCも、小規模企業共済も、NISAも、それぞれにメリットがあります。

しかし、どれも目的ではありません。

会社と社長が目指す未来を実現するための手段です。

制度改正のたびに、

「何を始めようか。」

と考えるのではなく、

「自分たちが目指す未来に、本当に必要な制度なのか。」

そう考えることが、社長にとって最も大切な経営判断ではないでしょうか。

最後に

2026年のiDeCo改正は、多くの経営者にとって追い風となる制度改正です。

だからこそ、

「掛金が増えた。」

というニュースだけで判断するのではなく、

会社のお金をどう残すのか。

社長個人のお金をどう活かすのか。

そして、

会社と社長が目指す未来に向けて、お金をどう配分するのか。

その視点を持って制度を活用していただきたいと思います。

もしこの記事を読んで、

「うちの場合は、どの選択が未来につながるのだろう。」

そう感じられたなら、それは制度の相談ではなく、経営判断の相談です。

会社ごとに、目指す未来は違います。

だから、選ぶべき制度も、お金の配分も違います。

私は、中小企業の社長と一緒に、5年後・10年後の理想の姿から逆算し、会社と社長、両方のお金の使い方を考えるお手伝いをしています。

LINEでは、こうした「経営判断に役立つヒント」を定期的に発信しています。また、「自社の場合を具体的に考えてみたい」という方には、個別相談も承っています。

 

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