『資産所得倍増プラン』で今度こそ貯蓄から投資へ向かうのか?
「インベスト イン 岸田 デス」
これは5月にロンドンの金融街シティーで岸田総理大臣が掲げたキャッチフレーズです。
日本語でスピーチしている中で突然
「Invest in Kishida, デス!」
と言ったので
「Invest in Kishida, DEATH(?)」
岸田の死に投資を???
とまぁSNSでは笑い話になり、発言後の日経平均株価は大きく下落するという、、、
なんとも悲しい話です。
岸田さんは広島出身、広島生まれの私は頑張ってもらいたいのですが、今後の政策をどう進めていくかですね。
さてさて、岸田総理は昨年「金融所得課税強化」を掲げたのですが、まぁこれが大不評でした。
私ももちろん反対です。
『お金持ちを貧乏にしても、貧乏な人はお金持ちにはならない』
これはイギリスの元首相マーガレット・サッチャーの名言です。
市場は素直ですから、日経平均株価は岸田政権の発足を挟んで8営業日連続で下落しましたから。
「こいつはアカンわ、、、」
と思われてしまったのでしょうね。
政府もこれはマズいと思ったのでしょう。
金融所得課税の引き上げを岸田政権の政策課題として優先しない意向を示しました。
そして180度方向性が変わって『資産所得倍増プラン』が飛び出したのです。
岸田総理は『聞く耳を持つ人』と評価すればいいのでしょうか(苦笑)
『経済財政運営と改革の基本方針 2022』の中で「本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する」と宣言しています。
はたしてどんな内容になるのでしょうか。
国民の預貯金が投資へ向かうきっかけになるのでしょうか?
ということで今回のテーマは
「日本人が当たり前に投資するようになるまでにはほど遠い?」
です。
この記事を読めば『資産所得倍増プラン』がどのような方向に進んでいくかイメージができます。
結論を一言でいうと
「資産所得倍増を実現させるのは簡単ではないが、お金持ち以外も資産形成に関心を持っておくべき」
です。
現状の日本はまだまだ投資が身近ではない
日本国民の個人金融資産は2,000兆円を超えています。
しかしその半分以上が現金・貯金で保有されています。
これは欧米と比較するとかなり比率が高いのです。
「でもそれは国民性や環境の違いでしょ」
と片付けるのは簡単です。
過去20年間の日本の家計金融資産の伸びが米・英に比べて鈍いと聞くとどうでしょうか(米=3倍、英=2.3倍、日本=1.4倍)。
所得も増えず、資産も増えず、物価も上がらず、世界から見れば相対的にどんどん貧しくなっている国なのです。
家計の預金が投資に向かうことの必要性がずいぶん前から繰り返し言われているわけです。
iDeCoやNISAなど非課税制度を利用して、若い世代を中心にかなり資産形成を始める人は増えてきました。
とは言ってもまだまだ少数派。
「投資、資産形成している」
と聞くと
- 株式売買
- FX
- 暗号資産(ビットコイン)
などを思い浮かべ、失敗した人の話を聞いたり記事を読んで
「自分には関係ない、怖いからやめておこう」
という人がまだまだ多数派です。
日本人は周りに流されやすいところがあるので、投資をする人が多数派になり始めると一気に参加者が増えるでしょう。
ただ、それまでにはまだまだ時間がかかると考えています。
FPとして長期投資の啓蒙を頑張らなければならないところです。
物価上昇(インフレ)は悪いこと?
日本はデフレから脱却するために、物価上昇率2%を目標に掲げてきました。
超低金利政策を続けるも、なかなか実現できませんでした。
ところが新型コロナウイルスの影響から、景気低迷を阻止するため世界中でお金がじゃぶじゃぶに溢れてきました。
さらに原油価格高騰、ウクライナ情勢、急激な円安とつぎつぎに不安定な状態が起こりました。
そんな思わぬ形でついに目標であった物価上昇率2%を超えたのです。
このインフレ率2%はゆるやかな物価上昇と言われ、経済がうまく回っている状態と言われます。
しかし現状は物価上昇に対して多くの国民は所得が増えていません。
こうなると支出を抑えて生活防衛するしかないので、モノやサービスが売れない状況に。
モノやサービスが売れないと企業の売上が伸びません。
当然、従業員の給料も増えません。
日本は長くデフレに苦しんで、物価上昇しないことに慣れてしまいました。
預貯金で利息がほとんどつかなくても、無駄遣いしなければなんとかなると考えるようになりました。
しかし現在のように物価上昇が始まると、それに負けないような所得が増えるか資産が増えなければ苦しくなることにようやく気づき始めています。
物価上昇するということは現金の価値が減ることです。
100円で買うことができたパンが200円になる。
300万円で買うことができた車が600万円になる。
5000万円で買うことができたマンションが1億円になる。
このとき大切にしまっておいた現金はどうなるでしょうか。
価値が半減していますよね。
だったら今のうちにモノに替えておこう、価値が上がりそうなものを買っておこうと考えるようになります。
あなたは現金を引き出しに保管していませんか?
このまま物価上昇が続くとどんどん現金の価値が減っていくことになるかもしれませんよ。
「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」
すぐに使う予定がないお金、どうしてますか?
多くの人が預貯金してますよね。
上述したように、日本国民の個人金融資産は2,000兆円を超えていて、その半分以上が現金・貯金で保有されています。
この現金・預金は誤解を恐れず言ってしまえば「ほとんど働いていない、役に立っていない」状態です。
定期預金の利率は良くても0.1%程度です。
この現金・預金の一部でも金融資産などに向かわせて、世の中にお金が回る状態にしたいのです。
お金は経済の血液ですがら、循環しなければ不健康になってしまいます。
この30年間の日本はずっと不健康だったのです。
『貯蓄から投資へ』という号令は2003年から言われているようです。
すでに20年経過していますが、まだまだ日本人にとって投資は身近とは言えません。
そして今回の岸田内閣が発表した
「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」
ですけど、正直なところ
「またか」
と感じた人も多いようです。
内閣府から発表されている資料を見てみましょう。
(「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」)我 が 国 の 個 人 金 融 資 産 2 , 0 0 0 兆 円 の う ち 、そ の 半 分 以 上 が 預 金・現 金 で 保 有 さ れ て い る 。
投資による資産所得倍増を目指して、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、 高齢者に向けた iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘 導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める。これらを含めて、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。その際、家計の安定的な資産形成に向けて、金融リテラシーの向上に取り組むとともに、家 計がより適切に金融商品の選択を行えるよう、将来受給可能な年金額等の見える化、デジ タルツールも活用した情報提供の充実や金融商品取引業者等による適切な助言や勧誘・説 明を促すための制度整備を図る。出典:経済財政運営と改革の基本方針2022 内閣府ホームページ https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/decision0607.html
このことから
- NISAの抜本的拡充
- iDeCo制度改革
が年末には発表されそうです。
『国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設』
というのも気になります。
なんらかの優遇制度が策定されるのではないでしょうか。
コロナ、原油高騰、物価上昇、円安など政府としては難しい問題山積です。
アクセルとブレーキを同時に踏むような政策では状況は良くならないでしょう。
参議院選挙もありますし、今後の動向にしっかり注目しておきましょう。
まとめ
「貯蓄から投資」「資産所得倍増プラン」、現在投資をしていない人からすると自分には関係ないと思うかもしれません。
資産所得倍増を実現させるのは簡単ではないが、現在投資をしていなくても資産形成に関心を持っておくべきです。
年末には
NISAの抜本的拡充
iDeCo制度改革
国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設
といったものが発表されるでしょう。
投資は必ずしもやらなければならないものではありません。
でも「知らない」では損をする可能性が大きいです。
無理して投資する必要はありませんが、貯蓄の一部を将来のための資産形成として早めに投資を経験してみることをオススメします。
簡単にできるのは『つみたてNISA』。
ネット証券なら月100円からの積立投資も可能です。
商品選びも失敗しにくくなっていますし、頻繁に売買しなければ投資の基本である『長期・積立・分散』の仕組みが利用できます。
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