サラリーマンがiDeCoで節税、知っておくべきデメリット

Gerd AltmannによるPixabayからの画像
資産形成を始める時にNISAやiDeCoがお得らしい、という認識の人が多いと思います。
簡単に言えばどちらも税制優遇が受けられる制度です。
通常であれば投資で得られた利益に対して約20%の税金がかかります。
ちなみに銀行預金の利息も同じように20%の税金がかかっています。
10万円儲かっても2万円税金で持っていかれてしまいます。
これを非課税にしましょう、というのがNISAやiDeCoです。
「年金制度は崩壊しない(させない)けど、税制優遇する制度を作ったから自分で資産形成して将来に備えてね」
という国からのメッセージと私は受け取っています。
さらにiDeCoは毎月の掛け金が所得控除の対象になるんです。
自分の資産作りのために使ったお金が、所得から差し引くことができる、つまり所得税を減らす効果があるんです。
個人的にはふるさと納税はお得かもしれませんが、違和感しか感じないので利用していません。
返礼品の豪華さを競い合って、本来の目的から外れた、制度の悪用としか思えないんですけど。
それはさておき、iDeCoはサラリーマンができる数少ない節税方法です。
まずはその理由から説明していきます。
目次
サラリーマンは節税する方法が限られている

Charles ThompsonによるPixabayからの画像
経営者や自営業者はよく「これは経費にするから」と言って領収書を集めていますよね。
彼らは合法的に税金をコントロールすることができるんです。
売上ー経費=利益
となっていて、利益に対して税金がかかります。
儲けが出そうなときは、新たな利益を生み出すために設備投資したり、宣伝広告費を増やしてそれを経費計上します。
そうやって経費と利益をコントロールして税金を減らしつつ、さらなる売上拡大を目指しているわけです。
それに対してサラリーマンは、経費に当たる部分をコントロールすることがほとんどできません。
いわゆる所得控除と呼ばれるものが多ければ、所得税を少なくすることができます。
所得控除は14種類あって、代表的なものは基礎控除、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、寄付金控除などです。
所得税を少なくしたいからと言って、例えば医療費の支出を増やすのでは手元に残るお金は増えません。
そこで注目すべきは小規模企業共済等掛金控除です。
iDeCoに加入して拠出した掛け金は、この小規模企業共済等掛金控除として全額が控除対象になります。
自分自身の老後資金として積み立てる金額が全額を所得から差し引くことができる、つまり所得税を減らすことができる。
例えば30歳で年収500万円の会社員Aさんが毎月23,000円をiDeCoで積み立てたとします。
23,000円×12ヶ月=276,000円が所得控除対象になり、1年間の節税額は55,200円です。
30歳〜60歳までの30年間で1,656,000円の節税になります。
さらにその積立が5%で運用できたとすると積立元本8,280,000円(23,000円×360ヶ月)に対して、運用益は10,861,949円です。
通常であれば約217万円の税金がかかるはずのこの運用益が非課税です。
老後資金を約1,900万円作ることができました。
もちろんこれはシミュレーションであって、必ずこのような結果が出るとは限りません。
でも節税効果の大きさはわかっていただけるのではないでしょうか。
積立NISAだと、税金や社会保険料を差し引いて手元に残ったお金(手取り給与)を投資に回します。
iDeCoは税金がかかる前のお金を投資に回すことができるということです。
つまり経営者や自営業者がやってる節税と同じような効果が得られるということです。
ちなみに自営業者もiDeCoに加入できます。
会社員と違って国民年金しか加入していないので老齢基礎年金のみとなります。
それを補うためにiDeCoに加入すれば掛け金の限度額は68,000円/月となっています。
これはかなり強力な節税効果がありますね。

出典:厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html)
会社員は厚生年金に加入しているので、国民年金のみの自営業者に比べれば受け取れる年金額は多いです。
年金についてはこちらの記事も参照ください。
iDeCoの節税効果は大きいが、知っておくべきデメリット
節税効果が大きく、老後のための資産形成に強力な味方になるiDeCoですけど、デメリットがあります。
- 原則として60歳まで引き出すことができない
- 口座管理手数料がかかる
- 運用リスクは自分が負わなければいけない
iDeCoのメリットばかりに目を向けると「お得だから」と言って始めて、あとで後悔することになります。
①原則として60歳まで引き出すことができない
iDeCoは個人型確定拠出年金のことです。
年金と名前が付いていることからもわかると思いますけど、老後資金を作るための税制優遇制度です。
途中で住宅購入資金にしたり、車を購入するために使うと言ったことはできません。
でも考え方を変えればこれはメリットになります。
老後資金を作ることが目的なのですから、途中で引き出せないわけです。
ある意味で強制的に長期投資をさせられるのですから、株価などの上げ下げに一喜一憂しなくて済みますしね。
途中で引き出す可能性があるのであればNISA、つみたてNISAの方がオススメということになります。
②口座管理手数料がかかる
開設手数料はどこでも2,829円です。
口座管理手数料が金融機関によって違うので注意が必要です。
最も安いところで171円/月、高いところで629円/月です。
その差額は458円で大したことないようにも思えます。
しかし30年間で164,880円の差になると思うともったいないですよね。
ネット証券は店舗がなく対面で相談などができない分、余計なコストがかかっていません。
扱っている商品も多いです。
「商品選びを窓口で相談しながら決めたい」というのでなければ、コストを抑えたネット証券が良いでしょう。
管理手数料をゼロにすることはできませんが、長期の運用で節税のメリットが大きく上回ると考えれば良いでしょう。
③運用リスクは自分が負わなければいけない
iDeCoの商品の中には元本確保型の商品(定期預金)もあります。
しかし上記のように口座管理手数料が毎月かかって、せっかくの税制優遇があることを考えると、少しはリスクを追って運用すべきであることがわかります。
安全よりな運用か、積極的な運用かは自分で選ぶことができます。
積立を長く続けていれば大きな下げ局面もあります。
みんなが売りたがっている状況で買うことができれば、その後、相場が持ち直せば元本を上回る利益を期待できます。
20年以上時間があるのであれば積極的な運用をとっても良いのではないでしょうか。
まとめ

silviaritaによるPixabayからの画像
iDeCoはサラリーマンができる数少ない節税法の一つです。
老後の生活資金として積立た額が全て所得控除になり、運用益も非課税になる。
その効果は絶大です。
ただし、住宅や車を買いたいと言った時に引き出すことはできません。
元本保証ではない商品を選ぶと自分でリスクを取らなければいけません。
元本保証を求めれば管理手数料がかかるのでiDeCoのメリットは半減します。
大切なのは
- 無理のない範囲で掛け金を設定する
- 自分が取れるリスクに合わせた商品選びをする
です。
iDeCoをまだ始めてない方は検討してみてはいかがでしょうか。
記事を読んで
「おもしろかった!」
「役にたった!」
と思っていただけたらクリックを!
下部のコメント欄も書き込んでいただければうれしいです。
↓ランキングをチェック!