資産形成は銀行に相談するな
2019年6月、金融庁金融庁の市場ワーキング・グループがまとめた報告書が世間を騒がせました。
マスメディアが「公的年金以外に老後資金が2,000万円必要」といったような報道をしたため、将来が不安になった人が大勢いるようです。
そんな中で金融庁の報告書原文を読んだ人はどのくらいいるでしょうか。
おそらく10%もいないでしょう。
私が読んだ感想は「まともな事を丁寧にわかりやすく説明している」と思いました。
人口減少・高齢化「人生100年時代」の日本において、資産形成や管理に取り組む必要性と、顧客本位の金融サービスの重要性などについて書かれています。
かんぽ生命の不適切営業問題を見ていても思うのは、残念ながら日本の金融サービスで顧客本位で取り組んでいるものはわずかしか存在しないという事です。
銀行であっても証券会社でも生命保険会社でも、顧客に寄り添うようなCMを流しています。
実際に本当に販売する側のメリットよりも顧客の幸せのための提案ができているのでしょうか。
販売する本人自身が買わないような商品を、わかりにくい複雑なもので手数料が高い、会社が売りたいものがノルマとして販売しなければならない。
お客が得をするものではなく、自分たちが得するものを売ろうとしています。
今回の年金2,000万円問題で不安になった人が
「将来に備えて資産形成を始めてみるか」
と思うことは良いことです。
しかし銀行の資産形成相談窓口に行くのはやめましょう。
確かに証券会社と違って銀行なら普段から店舗に行くこともあるので相談しやすいかもしれません。
窓口には無料相談と書かれていることでしょう。
金融リテラシーが無いまま銀行の窓口に行っても
カモがネギ背負ってくるようなものです。
あらかじめネットで勉強して
「こんな投資信託を買おうかな」と思って窓口に行っても
「こちらが現在一番人気の投資信託です」
など言って手数料の高い商品を勧められる可能性は大きいです。
投資信託に限らず、保険でもマンションでも、売る側が熱心に売ってくるものは、ほぼ100%自分たちが儲かるからです。
実際に日本で販売されている投資信託は5,000本以上あるけど、私から言わせてもらえば資産形成をする目的であればほとんどゴミのような商品です。
なので銀行関係者から批判されるのを覚悟で言えば
資産形成は銀行に相談するな
ということです。
やるべきことは
- ネット証券を利用する(低コスト)
- 信託報酬(運用管理費)の低いものを選ぶ
- 毎月分配型を選ばない
- 純資産総額が少なすぎるものは避ける
です。
と言っても5,000本以上の中から選ぶのは大変なので現時点で個人的に選ぶなら
- eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
ネット証券でこの2本を積立購入すれば、日本と先進国の株式に低コストで分散投資できます。
書籍やネットで資産形成について学ぶことは可能です。
しかし多くのサラリーマンがしっかり時間をとって調べることができないのが現状では無いでしょうか。
意を決して休暇を取り銀行の窓口に資産形成を相談に行ってしまっても、先に述べたようなことになります。
今後の日本において、金融商品・サービスについて顧客の立場に立ってアドバイスできる人材が必要だと考えています。
なので独立系FP、非販売系FPの存在が今後必要とされてくると確信しています。
金融庁の報告書にも次の通り明確にその期待が示されています。
個々人のライフスタイルが多様化する中、金融商品・サービスも多様化 してきている。こうした多様な商品・サービスを個々人が自身の力のみで選 ぶことについては、人によって困難が伴うことも想定される。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」P.33
この観点から、個々人に的確なアドバイスができるアドバイザーの存在 が重要である。現状では、その役割は主として本人に一番身近な金融機関な どが担うことが想定されるが、業態ごとの商品・サービスが多様化している ため、単一の業態の金融サービス提供者が全ての商品・サービスを俯瞰した アドバイスを行うことには難しい面がある。このため、特に強く求められる のは顧客の最善の利益を追求する立場に立って、顧客のライフステージに応 じ、マネープランの策定などの総合的なアドバイスを提供できるアドバイザ ーである。こうしたアドバイザーとなり得る主体としては、投資助言・代理 業、金融商品仲介業、保険代理店やフィナンシャルプランナーなど様々な業 者が存在する。米国では証券会社などの金融サービス提供者から独立して、 顧客に総合的にアドバイスをする者が多数いるが、日本においてこれに類似 する者は存在するものの、まだまだ認知度は低く、数は少ない。今後は認知 度向上に努めるとともに、そのサービスの質的な向上に努めることが望まれ る。
今後、日本で暮らすうえで資産形成から逃れることはできないでしょう。
マネーリテラシーを身につけ、相談・アドバイスを受けられる信頼できるパートナーを見つけることが最善です。
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